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Art制作ドキュメント:雲と夏と君と僕

熱中症対策そのものが夏を満喫する時代になりましたねーなんて挨拶を考えてみたのですが、
上手くない上に誰も得しないですね。すみません、ブログ担当のサトマです。

さて。そんなわけで残暑厳しい今日この頃。唐突ですが皆さん夏はお好きでしょうか。
クリークアンドリバー本社のある新橋でも気温37度という…
もしこれが体温だったらおふくろと学校行け行かないでもめるような温度ですよ。

せめて気分だけでも爽やかな夏を味わいたくなりませんか。
「会社PCの壁紙を夏にするかな。夏のイメージ数あれど、僕的にはやっぱり夏っぽい入道雲だよな。」
ということでちょっと自宅の外に出て空を撮ってみたわけです。

あれ・・・

いやいや

おかしい!おかしい!

後日・・・ブログ運営会議中

 

サトマ「……そういえば。ない」

オカモト「……はい?」

サトマ「いやね、入道雲を見てないのよ、ここのところ」

オカモト「あーはい、そういえばそんな気が。夏っぽい空って確かに見てないかも」

サトマ「なんでだろうね、困る。気象予報士のアマタツさんかソラジローに聞いてきてくれない?」

オカモト「嫌ですよ。アマタツさんと知り合いじゃないですし、ソラジローにいたっては気象予報士じゃなくてただの鳥じゃないですか。」

ソラジロー、ただの鳥じゃないだろ着ぐるみだろ、と返そうと思ったけれど怒られそうなので黙っておく事にしたのはいいとして、
入道雲以前に住宅街から空を見ても必ずと言っていいほど電線が写ってしまうことに気づいてしまう。

オカモト「それなら描いてもらえばいいんじゃないですか、アートチームの背景班に。
ちょうどこのブログ用にアートチームの作画しているところを記事にしようって話でしたし」

サトマ「……あ、それ賢い」

てな経緯で、壁紙が欲しいという僕の我欲にまみれた理由を含みつつも一応業務として壁紙になるような雲を描いてもらいたいなーと。

そんなこんなで


サトマ「と、いうわけで入道雲をいっちょお願いします」

きな子「よくわかりませんが、なんか雑なお願いなことはわかりました。
せっかくなので夏っぽくてエモいものにしましょうか」

サトマ「よろしくお願いします。」

今回ご協力いただくきな子さん


所属:アートチーム背景班
普段の業務:背景イラストの制作・監修

ちなみにきなこが特別好きなわけではないらしい。

デザイン部に所属しているものの、デザインワークの一切をやったことのないサトマ
所属部署的にこれまたツール類に明るくないブログスタッフのオカモトさんが聞き手となるため、
「えっと、まずどこから手つけるんですかね」的な、
グラフィックスツールのハウツー本の1ページ目みたいなことになっちゃうのは致し方無く、
この無茶な制作記事にご協力いただいたのはアートチーム背景班のきな子さんです!

では早速始めていきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

きな子「雲を描くのであればまず空かな、と。
空の上のほうが彩度は高いけれど色味は濃くして、下のほうは水色ベースで明るくしてあげると夏っぽくなると思います」

なるほど、もうこれだけで夏の空の高さみたいなものが感じられますね。
普段アートワークを生業にしている人にしてみれば当たり前の事なのだろうけれど、
グラデつけるにはRGBのBをスライドさせるくらいのことしかしない自分からするとこの段階で驚くばかり。


きな子「では雲を描いていきましょうか。
形状的にはモコモコ感、それと強めのコントラスト感を出しながら成形していきます。

陰と光のコントラストを強くしてあげることで日差しの強さが出るかなと」

きな子「空だけじゃなく、光源がどこにあるかは大事ですね、光源から近い遠いなども光源あってなので。立体感につながるというか」

3D空間のモデリングでも光源ありきなのでしょうし、空間の表現には必ずついてまわる決め事なのかも。
光源の話だけで一話題になりそうだななどと思いつつ、
さて、ここからディテールを刻んでいく感じになるのでしょうかね?

きな子「そうですね。この段階では雲の房というか、かたまりがまだ大きいので雲の上のほうは小さくしてサイズのバランスを調整していくのですが
ここまでは描く雲の大まかなイメージの仕方の説明と言う感じです。これから描きこんでいきます」

……今のラフというかモックだったのか、この「今のはメラゾーマではない、メラだ」感。

・・・・・・・・・・・・

きな子「最終的にはこうなります」

光、光に色が!太陽の光色成分!太陽がしっかりいる。しかも午前11時じゃなくて午後4時くらいの色だった。

きな子「では制作の過程を追ってみますね、雲のアウトラインを作っていくのですが、ブラシの動かし方をちょっとやってみます」

これは…螺旋を描くようなイメージ?

きな子「というより、あんまり考えないように、手が勝手に動くにまかせるというか、そんな感じかな……」

しれっと匠っぽいことをおっしゃる。このあたりは実際の描き手じゃないとわからない感覚なのかも。

きな子「そのほうがランダム感が出るのかな、と。それとペン先のサイズを小さくしてから、雲の質感を細かくしていきます」

確かにラフの時とあきらかに雲の粒度が違う。ディテールが細かくなっていくのもモックがあってこそなのかもですね。

きな子「最初の陰はこんな色味で。陰も同じ要領でもこもこ描きこんでいきます」

きな子「コントラストを意識しつつ大きい陰をこんな感じであたりをつけて、描いて削ってを繰り返していく、と」

なんとなく彫刻していくみたいな感じがしますね。

きな子「ちょっと彫刻と似ているかもしれませんね。自分の中になる仕上がりイメージにあまりとらわれないように、描きこんでいきます」

きな子「1陰がまとまってきたら2陰にはいります。雲の濃淡、立体感が出るように色に深さをつけてあげます」
   「コントラストを強くするわけですが、明るい部分の近くは濃くしたりして2陰を調整していきます」

素人目からするとこの時点でだいぶ雲ですけれど、これからまだ磨かれていくわけですね。
何かテクスチャを基本にして~みたいなとっかかりがない、
ゼロスクラッチから作られていく様をみると、まぁまぁの魔法ですこれ。

きな子「普段仕事では意識しないで白キャンバスから作成してますけれど、他の人から見たらそうなるのかもしれませんね」

きな子「2陰にあたりをつけたら、あとはディテール調整をします」

きな子「クリスタの指先ブラシなど使って色をなじませていきます、こんな感じですかね」

油絵でも指で描くメソッドありますからね、そんな感じかな。
彫刻だったり油絵だったり、言われみるとデジタル制作でも似たような概念に寄っていくのかも。

きな子「こうして完成まで、ブラシ を使ってディテールをつめていきます」

きな子「色を入れて、こうなります。だいぶ完成に近いですかね」

おおおおお太陽光ですね、プリズムっぽい光の感じ!

きな子「色は、こう透明感、といいいますか。新海誠さんみたいな色というか」

あ、わかる!確かに新海誠っぽい。

きな子「新海誠さんの『言の葉の庭』が好きで、キレイな緑に黄色味を足して光が当たっている感を表現するあたりとか」
「見終わった後、劇中に出てくる新宿御苑見に行ってみて色合いとか光が劇中の描写とぜんぜん違ってがっかりしたり…」
「なので空とかも青だけじゃなくて、日の光の成分としてピンク系の色をまぶしてあげたりします」

きな子「日の光が当たる雲の上部分に光の色を入れて、陰にはあまり影響のないように……で、完成です」

ありがとうございました!! いや、素晴らしかったです。
なんの知識もない我々でもとてもわかりやすく、興味深い内容だったと思います、本当にありがとうございました!

きな子「ありがとうございました!」
・・・・・
こちらが完成品

ではあらためて完成品を見てみましょう。
夏の雲、入道雲をテーマ、壁紙サイズで、というラフな要望に応えていただく形で作成いただいたわけですが、
見事に仕上げていただきました。

夏休み、小学校のプール日程も終えてあとは新学期を待つばかり。
夏は終わってしまう、どんなに願っても終わる。この光の色は夏が終わろうとしているサインのよう。

制作シーンを収録させていただいたのですが、
収録に立ち会ってくれたスタッフは皆、なんというかドキュメント番組を一本見終わったような気分になっちゃったり。
これを収録したのは7月末なのですが、この記事が掲載される時期を狙ってのことだとしたら
さすがとしか言いようがない、感服。

作画環境


IllustStudioからスライドするようにCLIP STUDIOを使用してはや数年、業務での使用も含め今にいたるそうです。
デジタルツールって熟(な)れが一番でしょうからね。
今回みたいに白キャンバスからの制作なら手馴染みのツールで作成するとのこと。

お家ではipadも使うらしいのですがちょっとなでるだけでも反応してくれて、
なんなら板タブよりも筆圧の感度がよいのだそうです。

これは他の多くのデザイナーさんも口をそろえるようにipadいいですよーと言いますね。
ワコムがんばれよワコム、と思わざるをえない。

雲を描くのに実は苦手意識があった


きな子さんは今でこそ雲や空を描くことは苦ではないけれど、実は過去雲を描くのが苦手だったそうです。
「雲のブラシとか使わないでどうやって描くの」と常々思っていまして、とのことで。

でも仕事で描いているうちに「ブラシで描く限界が見えるようになってきた」と思うことが多くなってきた、と。
そこで自分の手で描きこんでいくようになり、そのうちに楽しくなってきてそれに連れて技術もあがってきた実感がともない、
今回のオファーに参加していただくことにつながったようです。
制作にあたり、アプローチ変えてみるってやっぱり大事ですね。

ブラシ自体商用不可のものがある!


雲のブラシの話から、ブラシ作者が商用利用について言及できることを恥ずかしながら知りました。
もう長いことこの業界でのたくっている僕なのに、恥ずかしい限りです。
フォントやらテクスチャやらは、フリーか商用かの線引きは理解していましたけれど、まさかブラシにまで。
ブログスタッフのオカモトさんも「知らない」と言っていたのですこし気が楽になったけど。
今回の雲はクリスタのデフォルトブラシで作成してもらいました。

アンテナの方向と性能


遠景の雲に話が及んだ時に「近景の雲が主役とすると遠景が脇役ですかね」と言われて
「近景が反町隆史で遠景が松重豊、みたいな?」と小ボケかましたところ、
「反町・・・は?タカシ?誰ですそれ」
と、これまた匠感というか隔世感というか、
反町もっとがんばらないとアレだぞ感というか、そんな感じでした。反町……
いやでも、よく考えれば自分だって
アメリカのバスケットボールNBAのマイナーリーグ選手の名前を出されても「は?」ってなりますもんね。アンテナの範囲外だ。

これはきな子さんが普段張っているアンテナのベクトルがTVの地上波などには向いておらず、
むしろ雲やら木やら光やらに向いているだけの話なのだと思います。
「気づくと、雲とかよく写真に撮っちゃって、雲写真フォルダにつっこんでます」ってことらしく。

仕事でドラマ「相棒」のイメージボード描いてほしいみたいなオーダーが頻繁にあるならばまた別なのかもしれません。
今は寺脇さんに戻ってますけれど。反町…

そしてバトンは渡る


収録が終わって、アディショナルタイムで雑談している時にきな子さんが描き始めた、これ。

きな子「こういう感じのキャラとかのせると、もっと夏っぽいかなーと思って」

これはあれか、学校のテスト時間、用紙の裏につい描いてしまう絵描きの習性というヤツか。

いや、たったこれだけの線画でもうそこにドラマがある。
こうなると、もういるべき場所にいるべきキャラを、あって当然のごとく命を吹き込む描き手が待たれますな。
思わぬ形でバトンが渡されることになりそうで、おそらく次回に続きます。どうぞお楽しみに。

後日談・・・PCの画面と新橋の空


というわけで仕上げていただいた画はこうして壁紙として収められました。これでいつでも夏気分。
せっかくなので、新橋COREビルの屋上で青空とともに記念撮影を…と意気込むサトマとオカモトでしたが…



どうなんだよこの曇天。
とことん空に嫌われたエントリー記事となりましたが、少なくとも僕の気持ちは晴々としておりますのでまぁよしとしておきます。

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